科学哲学史(5) 反証主義 1930年頃

「反証可能なリスクを負うものが科学である」ポパー

論理実証主義が、本当に厳密に考えた結果、
どんな科学理論でも「根拠のない飛躍」が含まれていることが
わかってしまった。
「人間はどうがんばっても、確実に正しい科学理論というものを作り出せない」
というショッキングな結論に、科学界は、再び、闇に閉ざされた。

だが!
そこに、カール・ポパーが現れ、
「反証主義」という新しい科学思想を提示し、科学界に一筋の光を投げ込んだ。

さてさて。
反証とは、簡単に言うと、観察や実験を行って、「おら、間違っているじゃねえか!」と
「証拠」を突きつけることである。

この「反証」というのは非常に簡単である。

たとえば、がんばって苦労して、
「黒いカラス」をどんなにたくさん集めても、
「すべてのカラスは黒い」という理論を証明できないことは述べたが、
逆に、
「白いカラス」を1羽でも見つけてしまえば、
「すべてのカラスは黒い」という理論が間違っている!確実に言うことができる。
たった一回の観察で良いのだ。

そう。反証は簡単で、しかも、確実なのである。

ここから、ポパーは、観察による理論の証明について以下のように考えた。

・人間が、観察によって、科学理論の正当性を証明することは原理的に不可能である。
・観察によってできることは、
 ある理論が誤りであることを証明(反証)することだけである。

ようするに、人間が、理論について、確実なことが言えるのは、
「間違っているぞ」と否定するときだけだという話だ。

とはいえ、
ポパーは、だからといって 「科学理論は反証によって作られるべきだ」
と考えたわけじゃない。
(それはあまり現実的ではない。
だって、反証だけで理論体系を作ろうとしたら、「少なくとも、○○は、〜〜ではない」
という否定文の理論が大量にできるだけだろう)

そうではなく、ポパーが冴えていたのは、
「理論というものは、反証による検証でしか正否(白黒)を決められないのだから、
 正統な科学理論が満たすべき基準とは、反証による検証がきちんと行えることである」
と考えたところにある。

たとえば、「この世界は神様が作った」という理論は、そもそも反証しようがない。
どんな反証や批判をしようとも、
「だって、神様がそうしたんだも〜ん」と言ってしまえば、
いくらでも言い逃れができるからだ。

このような 「観察や実験によって、反証できない理論」 や
「いくらでも言い訳が成り立つ理論」は、
「反証可能性を持たない理論」と呼ばれるが、
「こういう理論は、反証による検証ができないので、科学ではないぞ!」
とポパーは考えたのである。

この反証可能性とは、
言葉のとおり、「反証されちゃうかもしれない可能性」のことであるが、
ポパーは、
「反証可能性を持つものが、科学であり、
 逆に、反証可能性を持たないものはウソ科学である」
とはっきり定義したのである。

よーするに、
「いつか、観察や実験などの検証により、反証される可能性のある理論
 ―間違っていたら、間違っていると確認できる理論―」
は、
「反証しようもない理論
 ―間違っていても、間違っていると確認できない理論―」
よりは偉いというわけで、
前者を「科学」、後者を「科学でないもの」と分けましょうと提案したのである。

これは、なかなか説得力のある妥当な「科学/擬似科学」の分け方のようにみえる。
このポパーの科学思想「反証主義」は、拍手喝采で、科学界に受け入れられ、
ようやく人類は、「科学と擬似科学をわける境界線」を発見したのである。

(補足1)
一般に「科学」といえば、
「明らかに正しいもの」「間違っていないと確認されたもの」
というイメージを持ちがちであるが、実はそうではないのだ。
面白いことに、「科学」であることの前提条件とは、
「間違っていると指摘されるリスクを背負っているかどうか」
なのである。

(補足2)
だが、結局のところ、ポパーの科学思想は、
ぶっちゃけ、ただの妥協案であることは明らかだ。
反証可能性さえ持っていれば、科学の仲間だとしてしまうのだから、
かなりのトンデモ理論が科学の仲間として生き残ることができる。
結局、その程度の分け方しかできなかったのだ。
つまるところ、科学とは、
「今のところまだ反証されていない仮説にすぎない」
という敗北宣言でもある。

ところで、
小、中、高と、学校で習っている科学は、
「とっくの昔に反証されちゃっている間違ったものばっかり」である。
(だから、古典科学と分類される)

というわけで、理工系の大学に入るために、寝ないで死ぬほど勉強して、
やっと合格しても、教授から、

「ごめーん、今までの勉強って、みんな、反証済みの仮説で、
 昔の人の思い込みで実は正しくないの、てへ。
 全部忘れてね」

とか言われて、最初からやり直しになるけど、
みんな、がんばって勉強しよう!!
なんと、このサイトが本になりました!
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