2重スリット実験(3)


●実験C 電子1個を少しづつ発射した場合
では……。
電子銃から、「電子1個」の発射を何度も繰り返したらどうなるだろう?

つまり、最初の「電子1個」がスクリーンに当たって、「点」が映し出されたら、次の「電子1個」を発射するということを何度も繰り返す実験だ。(ようは、実験Bを連続してやるだけの話だ)

結論を言うと、スクリーンには、「電子1個」が発射されるたびに、ポツン、ポツンと、少しづつ小さな「点」が増えていく。

ここまでは、ぜんぜん不思議じゃない。実験Cとは、実験Bの繰り返しなのだから、この結果は、当たり前である。

だが、不思議なのは……。

「電子1個の発射」を何度も繰り返して、「点」の数が増えていくと、その「点」の集まりが、実験Aの干渉縞と同じ模様になるのである。

一見すると、ナニが不思議なのかよくわからないかもしれないが、これは、既存の世界観を打ち砕く不思議な現象である。

ナニが不思議なのか、よくみてみよう。

●実験Cの考察
まず、ナニが起きたか。
実験Cは、「電子1個」がスクリーンに当たって「点」が映し出されたら、次の「電子1個」を発射する、ということを何度も繰り返す実験だ。

最初の1個目では、当然、スクリーンには、1個だけ点が映し出される。



100個目の電子では、スクリーンには、100個の点が映し出される。



そして、それを何度も何度も繰り返して、1000個目ぐらいになると、スクリーン上の「点」の集合は、はっきりと実験Aの干渉縞と同じ模様だということがわかってくる。



一体、何が起きたのかを知るためには、もう少し解説が必要だ。繰り返しになるが、重要な部分なので、ひとつひとつみていこう。


まず。
電子1個を飛ばすと、電子は「スクリーン上のどこか」に到達し、その場所に「点」を映し出すわけだが、「この『点』が、スクリーンのどの場所に映し出されるか?」については、実は、確実な予測ができない。

不思議なことに、可能な限り同じ条件で、電子1個を同じように飛ばしてみても、スクリーン上の「点」は、あっちに映ることもあれば、こっちに映ることもあったりと、気まぐれな結果を残す。(条件が同じなら、いつも同じ場所に電子が飛んできそうなものだが)

さて。問題は、ここからだ。
さらに、「電子1個」を飛ばすことを 何度も何度も繰り返していくと、たくさんの「点」がスクリーンのいたるところに映し出されていくが、最終的には、その「点」の集合が、「干渉縞の模様」と同じであることがわかってくる。

なぜ、こんなことが起きたのだろうか?

と、起きたことの仕組みを問いかける前に、「何が起きたか?」を正確に把握してみよう。
まず、確実にいえることは、
干渉縞の波の振幅が高い場所に、電子が飛んでくることが多い」ということである。

これは、あたりまえの話だが、そもそも、点の集合がシマシマになるということは、
電子が飛んでくる確率が高い場所」と「電子が飛んでくる確率が低い場所
の2つがあるということを意味している。
それがあるから、電子を何度も飛ばす実験を繰り返すと、「スクリーンに電子があたった跡」がシマシマに見えてくるのだ。

では、電子が「飛んでくる確率が高い場所」とは一体どんなところだろう。結論から言うと、電子を波だと見立てたときに、その波が高い場所となる。

もし、電子を波だと考えたとき、2重スリット実験では、「スリットAを通り抜ける波」と「スリットBを通り抜ける波」の2つに分裂する。
そして、スクリーン上には、その2つが重なった干渉縞の波が見えるわけだ。その干渉縞の波が高いところでは、電子が観測されることが多く、たくさんの「点」を残す。また、干渉縞の波が低いところでは、電子が観測されることはあまりなく、結果として「点」が少なくなっている。

今、言ったことを図を使って、もう一度説明しよう。



というわけだ。
ようは、
「電子1個を飛ばしたとき、その電子は、波が高いところで観測される確率が高く、波が低いところで観測される確率が低い。そして、波がないところで、観測される確率はない(ゼロ)」
ということになる。
つまり、「電子がスクリーン上のどこで観測される確率が高いか?」という確率分布が、波の形になっている、ということだ。

まとめよう。
この実験Cで、起きているのは、こういうことだ。

・電子1個1個は、スクリーン上では「点」(つまり、粒子)として観測される。

・そして、その「点」が「どこで観測されるか?」という確率の分布は、波状になっている。その波の形は、電子を波だと考えたときに、スクリーン上に映し出されるはずだったものと同じである。

ということである。

なぜ?という疑問はおいといて、とにかく、実験Cをやると、こんなことが起きるのだ。

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