弱い力
弱い力とは、何か?
それを理解するための背景から、
まず、人間でも石でも何でも、世の中のすべての物は、原子が集まってできている。
で、その原子は、
中心に「原子核」、
周辺に「電子」、
という構成になっている。
中心にある原子核の中は、
「
+の電荷を持つ陽子」と、陽子と同数個の「
電荷0の中性子」で構成されている。
つまり、原子核の中は、
「
陽子が2個あったら、中性子も2個」
「
陽子が4個あったら、中性子も4個」
という構成だ。
さて。
この原子が、電気的に安定(電荷0の中性)となるためには、「+の電荷」と「−の電荷」が
同じ数だけ必要になる。
たとえば、「
+電荷を持つ陽子が2個」あったら、その周辺には「
−電荷を持つ電子が2個」あればいい。
これはわかる。
「
陽子(+電荷)2個 と 電子(−電荷)2個」なのだから、
2 − 2 = 電荷0 (電気的に安定)
という単純な計算だ。
ようは、男が4人いたら、女は4人必要ということ。
合コンと同じだ。
もし、数が合わなかったら、とっても不安定な状態になる!
合コンと同じだ!
「
だから、人数合わせとけって、言っただろがぁ!」
さて。
「
+電荷と−電荷の数が合えば、電気的に中性になって安定する」
それはわかった。
でも、ちょっと待って欲しい。何かおかしくはないか。
原子全体でみたら、なるほど、それで釣り合いがとれているかもしれない。
でも、原子核だけでみたら話は全然違う。
だって、原子核には、
「+の電荷を持つ陽子」と、「電荷0の中性子」しかないのだ。
当然「+の電荷」同士は反発しあう。
だったら、原子核の中の、陽子同士は反発しあって、
陽子が原子核から飛び出してしまうはずだ。
それなのに、現実には、陽子は、原子核という狭いところに集まっている。
これは、たとえるなら、
「
汗くさい男(陽子)たちが、女の子(電子)もいない狭いところに、敷き詰めあっている」
という状態だ。
それはとっても不自然だ。
これはおかしい。何か理由があるに違いない。
というわけで、物理学者たちは、
「
この陽子(男)どもを結び付けている『力』とは一体なんだ!?」
と考えて、この問題に取り組んだのである。