2重スリット実験(5)
さぁ。
実験Cをどう解釈すればいいのだろう?
ところで、実験Cを調べるための方法として、「電子が通ったかどうかを観察するセンサ」があるのだから、「
そのセンサを、実験装置のいたるところに配置する」というのはどうだろうか?
そうすれば、電子1個が本当にどのように動いて、スクリーンに到達したか、はっきりとわかるはずだ。電子がスクリーンに到達するまでの、軌跡をみれば、何かわかるかもしれない。
しかし、その実験は、役に立たない。
というのは、「
観測するということは、観測する対象に影響を与えるということ」だからだ。
つまり、「電子を観測する」ということは、「電子に、光などの他の物質をぶつけたり」して、その位置を調べるということである。したがって、当然、電子の軌道は、「観測の影響」によって大きく変えられてしまう。そうなると、この2重スリットの実験はぶち壊しになり、干渉縞は消えてしまうのだ。
(観測によって、電子を弾き飛ばされてしまったのだから)
電子に何も影響を与えずに、観測できる方法があれば良いのだが、それは原理的に不可能である。
観測とは、
「
観測対象物に、『力』を相互作用させて、その影響を調べる」
ということだからだ。
だから、
「影響を与えずに、観測する」という言葉は、そもそも矛盾しており、そんなことはありえないというのが、現代科学の常識である。
ともかく、電子が発射してから、スクリーンに到達するまでの間で、「電子の観測」を行ってしまうと、この2重スリットの実験はぶち壊しになってしまう。したがって、2重スリット実験では、「
電子がスクリーンに到達するまで、電子を観測してはいけない」
このことは、2重スリット実験を理解するうえで、非常に重要なポイントである。
よく覚えておいてほしい。