レイン開発日誌12003年7月31日
人工生命を作成しようと思います。 血迷ってます。誰か止めて。 |
レイン開発日誌22003年8月2日
最初は、会話型人工知能(人間の会話入力に対して、 返信の文章を作成するプログラム)を作ろうかって思ったんだけど、 「ただの言葉遊び」になりそうな気がしてきた。 仮に、学習機能を付けて、どんどん、人間に近づけた……としても、 そもそも人工知能が、人間と同じ「体験」ができないのだから、 本質的に、「会話」というものが成立しないのではないか。 開発メンバのMさんの 「娘が、コトバを覚える年頃で。 シャツに隠れた手が、袖から出た瞬間に『お手手』と言うと、 それをオウム返しに反復して、自分の手を触って。 その時、意味とコトバを理解した瞬間だとわかる。感動ですよ」 という助言は貴重なものだ。 逆にいえば、人工知能に「野球」という単語を本質的に教えるのは 不可能ということだ。 もちろん、「野球とは何か?」を知っているかのように、 レインに話させることはできる。 そうすると、結局のところ、 プログラムは「いかに会話が成り立っているように見せかけるか?」 という部分に重点が置かれてしまう。 それは少し興ざめだ。もう少し、本質をつきたい。 |
レイン開発日誌32003年8月5日
開発メンバーのとくがわさんから、 「コンピュータに言語理解をさせるには、どうしたらいいかっていうのを 考えている人たちのなかに、単語同士を結びつければいいのでは、という アイデアがあるそうです。連想ゲームみたいなものですね」 という助言をいただく。 たしかに、「くだもの」→「りんご」→「赤い」という 記号の関連付けをやっていけば、 人工知能が、言語的な機能を持つことは可能なのかもしれない。 実際に、世の中にある人工知能開発専用のプログラム言語は、 つまるところ、「集合論に基づく記号の関連付け」に特化したものだ。 ようは、 規則1) 「くだものという集合」に「りんご」が含まれる。 規則2) 「りんご」は「赤」に関連する。 規則3) 「赤」は「色という集合」に含まれる。 問い) 「くだもので、色が赤いもの、な〜んだ?」 答え) 「りんご」です。 という話だ。 しかし、このような手法で、 本当に「言葉を理解して回答した」と言えるのだろうか? 「体験してない言葉(リアルではない言葉)」をいくら関連づけても、 「言葉の意味を理解して、自発的に話す」ということは、 生じないのではないだろうか? そんな本質的な疑問が浮かんでくる。 たとえば、人間が「#%$」→「&*#」→「?&@」という 意味不明の記号の関連付けを覚えて、ひとつの言語体系を記憶したとする。 それで、誰かに 「『#%$という集合』に含まれるものをひとつ教えてください」と 問いかけられれば、「&*#です」と答えることはできる。 一応、外部からは会話が成り立っているように見えるが、 結局のところ、「#%$」が、何なのかわからないままである。 つまり、「リアルな体験」にもとづかない言葉の体系を学習させても、 しょうがないのではないだろうか? そもそも。 本来、僕らの「言葉」というのは、人間が「リアルで体験した出来事」を 特定の「記号で表現したもの」のことである。 ということは、コンピュータに本気で会話をさせたいのであれば、 「人間にとってリアルな言葉」を無理やり教え込ますのではなく、 コンピュータに体験をさせて、 コンピュータにとってリアルなその体験を記号化(言語化)する、 という過程をふませれば良いのではないだろうか!? すこし見えてきた。 そうすると、コンピュータにとって「リアルな体験」ってなんだろうか……? |
レイン開発日誌42003年8月12日
開発メンバーのとくがわさんから。 「たとえばリンゴについて考えます。 リンゴといって思いつくのは、「果物」という単語以外に「リンゴの見た目」 であったり「リンゴの味」であったり「リンゴのにおい」であったりします。 つまり人間はリンゴを複数の形、五感で認識しているわけです。 さて、コンピュータにそれを付加させるにはどうすればいいか? 視覚:ぎりぎりなんとかなりそうです。 味覚、嗅覚:うーん。むずかしそう。センサーが問題。 触覚:何とかなる方?」 という貴重な助言をいただいた。 なるほど。たしかにそのとおりだ。 「りんごという体験」を「りんごという記号」に結び付けないと 「リアルな言葉」とはいえないわけだから、「りんごという体験」を 発生させるためのセンサ(感覚機器)は必須になる。 特に、コンピュータが、人間と同じ「世界」を共有して、 会話することも視野に入れるとしたら、 やっぱり、その世界との接点として、センサが必須だ。 つまり、ようするに、人工知能コンピュータが、リアルに会話するためには、 「感覚器官を持った肉体」が必要だ、ということになるのだろう。 とはいうものの……、 さすがに、ハードウェアの開発をやるのは、 素人には、なかなか難しい……。 うーん、最近は、カメラも安くなってきたとはいえ、 なかなか難しいところだよなあ。 素人が、がんばってもせいぜい……、 |
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