科学哲学史(2) 帰納主義の問題

ベーコンが提案した「帰納主義による科学理論の構築方法」とは、
「観察や実験を繰り返し行い、観察事実(データ)を蓄積し、
 たくさんの観察事実(データ)に基づいて、理論を構築していきましょ〜」
ということである。

したがって、たくさんのカラスを観察して、
「あのカラスAも黒い。あっちのカラスBも黒い」というように、
「カラスが黒い」というデータをたくさん集めていけば、
「カラスは黒い」という理論はどんどん信頼できるものになるわけだ。

この帰納主義的なやりかたは、非常にうまくいった。
人類は、ついに「権威や宗教による迷信」に囚われずに、
客観的で確実な理論の構築方法を手に入れることができた!!

かにみえた……。

だが次第に、帰納主義的な科学にも、問題があることがわかってきたのである。

というのは、帰納主義的な科学では、
「理論を支持するデータがたくさんあれば、科学的な理論として認められる」
わけだから、逆に言えば、
「どんなに独りよがりでウソっぱちな理論でも、ある程度、データが揃っていれば、
 科学的に正当な理論だと称する」
ことができてしまうのだ。

だから、「ナマズが暴れるのは地震の前兆である」という俗説すら、
「ナマズが暴れた→地震が起きた」という事例をたくさん集めれば、
「科学的に正当な理論」だと言えてしまうのである。

そんなわけで、思い込みの激しいエセ科学者はもちろんのこと、
心理学者や経済学者までも、自分の理論に都合の良いデータを大量に持ってきて、
「これは科学的な理論です!」と、無茶苦茶なことを言い出し始めたのである。

それどころか……。
今まで、
「ワレワレの教義は、理性では測ることはデキマセン。とにかくシンジナサイ」
とか言ってた神秘主義者たちでさえ、
世界各地の神秘的現象の事例を取り上げて、理論武装して、
「ワレワレの教義は、科学的に実証されています!」とさえ言い出してきた。(笑
(だいたい、人間は、事例を挙げて説明されると、案外簡単に信用してしまう。)

さぁ、困ったことになったぞ!

もともと。
帰納主義の名の下に、大量の観測データを蓄積していって、
古い迷信などのウソ理論を排除するのが目的だったのに、
実際にはウソ理論は減るどころか、むしろ増え続ける一方で、
しかも、そのウソ理論、はては神秘主義まで、
み〜んな「科学の仲間入り」という結果になってしまった。

そのため、混迷する科学界は、
この侵入してきた「ウソ科学(擬似科学)」をなんとしても叩き出す必要があった。

しかしである。
ことは、そう簡単ではなかった。
というのは、この時代、「非ユークリッド幾何学の発見」により
「矛盾のない理論などいくらでも作り出せる」ということがわかってきたからだ。
だから、ウソ科学といっても、
「自己破綻しているようなメチャクチャな理論」ばかりではなく、
「どんなに眺めても矛盾のかけらも見つからないウソ理論」もあるわけで、
余計に始末が悪かった。

(そうなのだ。擬似科学だから、きちんと賢い人が、じっくり問い詰めれば、
 ボロ(矛盾)がでてきて理論が破綻する、な〜んて、思ったら大間違いなのだ)

かといって、科学者の大御所や偉い人なんかに、
「これはホンモノ、これはウソ」なんて判定をまかせてしまったら、
またもや権威主義に逆戻りである。

では、いったい、
どうやって、本物の科学と、ニセモノの科学を見分ければいいのか?
われわれは、本物の科学とニセモノの科学を区別するための「境界線」を
どこかに引かなくてはならない。
(これは「境界設定問題」と呼ばれる)

「そういう難しいことは、おれたちにまかせてもらおう!」

そんな状況をみかねて、やってきたヤツらがいた。
ウィーン大学の哲学教授を中心とした、研究グループ「ウィーン学団」である。
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