ニュートン VS フック

フックという人を知っていますか?

バネにかかる力は伸ばした距離に比例する!」という「フックの法則」のあのフックさんです。

 F = kx (kはバネ定数)

理科の教科書に出てきましたね。

実は、このフックさん、十七世紀に活躍した英国の科学者で、すごい偉い人だったんです。ニュートンより少し先に学会に登場し、初期の頃は、ニュートンをはるかに凌ぐ名声の持ち主でした。

彼は、発明・実験の天才で「十七世紀のレオナルド・ダビンチ」とも呼ばれ、新型気圧計、反射望遠鏡、ゼンマイ式時計、その他重要な科学器具を考案、製作したのです。
自作の顕微鏡を使って、「細胞(cell)」という言葉を作ったのもフックです。

ただ、理論化とかそういう小難しいことは嫌いだったようで、ずっと実験の準備や実験道具の開発をしたりと……ようは、「技術屋のオヤジ」の典型みたいな人でした。

でも、アイデアとか発想力のようなものは抜群で、ニュートンが万有引力の本を出版する前に、こんなことを言っている。

1)「すべての天体はどれでも、それら自身の中心へ向かう引力を持っており、我々が地球において見るように、それらから飛び去ってしまわないように保っている」

2)「直線的で単純な運動をしている物体は、それらが他の力によって曲げられないかぎり、直線内をずっと動きつづけるであろう」

3)「働きかけられている物体が、引力の中心に近ければ近いほど、これらの引力はより強く作用すると思われる。私は、この引力の大きさについてまだ実験的に立証していないが、しかるべき方法で活用されるならば、すべての天体の運動を『ある一定の規則に還元する』のに大きな助けとなると考えられる。円的振り子運動の本性を理解する人は、この原理の全体をたやすく理解できる」

2)は慣性の法則のことだし、1)3)は、万有引力の法則そのままだ。
フックは、これらのことをニュートンへの手紙で述べている。

ようは、頭の良い理論屋たちが悩んでいる横で、フックは、ボールに紐つけてグルングルンぶん回し、

なぜ惑星が周り続けていられるのかって?なんか見えない紐みたいなもんでもあって、遠心力と反対側の方向に、引っ張ってんじゃねぇの?

とあっさりやってのけたのだ。

でも、それからしばらくして、ニュートンが「そんなこと、僕、もっと昔から思いついてました」という顔で、万有引力の本を出版したから、フックさんは激怒し、ニュートンと大喧嘩になった。

ただし、世の中ってやつは、いつの時代も「技術屋」より「理論屋」の方が偉いという風習があって、当然、理論屋のニュートンが勝ちます。
そして、ニュートンは生きながらにして、学問の神様になりました。

神様になったニュートンが何をしたか。そんなの決まってます。

まず、フックの死後、彼の器具、原稿はすべて破棄させました。
はい、もちろん、肖像画もです。
ニュートンが全部処分したから、おかげで、十七世紀のダビンチとまで言われたフックの顔、現在、誰も知りません。

そして、万有引力の本から、「フック氏のおかげで、私は万有引力の法則を定式化できました」というフック関連の謝辞や引用をすべて削除しました。
現在、フックほどの歴史に残る人物でありながら、伝記的な書物はいっさいありません。

ようするに!
神様になったら、何でもできるってことだ。

やっぱり、ニュートンは偉い。

ニュートンの墓碑には、こう書かれている。

「人々よ、これほど偉大な人類の宝を得たことを喜べ!」


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『てつがくフレンズ』第41話

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